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音声コンテンツ「ポッドキャスト」の魅力。他メディアとの比較、リスナー・配信者の価値は?

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「ポッドキャスト」という音声メディアの存在は知っているけれど、実際に利用したことはない人は多いのではないでしょうか。ポッドキャストは、インターネット上で配信されているオーディオコンテンツです。リスナーはスマホアプリやPCで簡単に利用することができます。

最近、海外ではスキマ時間にハンズフリーで楽しめるポッドキャストの人気が盛り上がりを見せています。その影響を受けて、日本でもじわじわ人気が出てきているようです。今回は、リスナー視点、配信者視点それぞれから見るポッドキャストの魅力をご紹介します。

音声メディア「ポッドキャスト」の視聴者動向

これまでは、動画メディアの人気が揺るぎない印象がありましたが、近年のポッドキャストの利用者数の増加には目を見張るものがあります。

特にアメリカでは2014年から人気が沸騰しており、全人口の約51%がポッドキャストユーザーで、週7時間以上聞くヘビーユーザーは10人に1人となっています。今でもその成長は止まらず、年平均成長率20%、2018年に週間4,800万人だったリスナーも2021年には1億1,500万人まで増えると予測されています。また、リスナーだけではなく配信者も増え、2年前にはわずか50万だった番組数が今年1月には85万を超え、3,000万以上のエピソードが配信されています。

企業からの関心も高く、2021年にはデジタル音声広告の収益は10億を越えると言われています。Spotify社による大手ポッドキャスト制作会社Gimlet Mediaの買収、「ポッドキャストのNetflixを作る」と掲げベンチャーから1億ドルの資金調達を行った「Luminary」の台頭など、拡大し続ける市場にますます注目が集まるところです。

音声メディアは、動画・テキストメディアと比べてわからりづらい?

音声メディアの一番の特徴は、サムネイル以外は視覚的な情報が存在しないことです。ポッドキャストでは、サムネイルには番組名とだいたいのジャンルが分かるのみなので、最終的には「聴いてみないと面白いのか分からない」のが現状です。

例えば、映画、アニメ、SNS、YouTubeなど、動画・映像メディアはユーザーに対して視覚から分かりやすくアプローチできます。人が受ける情報の約8割は視覚から入ってくると言われており、視覚的な演出によってユーザーを惹きつけることができるのは最大の強みです。

また、本、漫画、ブログ、noteなど、活字からの情報がメインの文字・テキストメディアと比較すると、ポッドキャストの方が情報量が少ない傾向にあります。活字は情報が整理され、筋道立てて書かれているので、密度の濃い情報が効率よく吸収できると言われています。

上記のように、情報の伝達効率の高さではほかメディアの後塵を拝する音声メディアポッドキャストですが、リスナーはどのような部分に価値を感じているのでしょうか?リスナー視点・配信者視点の両側面から、ポッドキャストの魅力を見ていきましょう。

リスナーから見るポッドキャストの魅力

カジュアルに楽しめ、ライフスタイルに組み込みやすい

ポッドキャストの最大の強みは、他のメディアコンテンツに比べて利用する際の自由度が高く、どんなライフスタイルのユーザーでも同じように楽しめる点です。

動画やテキストコンテンツを楽しむには、ある程度まとまった時間が必要です。しかし、ポッドキャストなら、移動中や、家事の最中、ジムで運動しながら「ながら聴き」でコンテンツを楽しむことができます。短いスキマ時間に楽しむことができるポッドキャストは、忙しい現代人のライフスタイルにぴったりのコンテンツなのです。

情報量については、動画やテキストに劣ると思われがちですが、聴覚のみを使用するために逆に自分のペースで情報収集にフォーカスできるメリットがあります。SNSの投稿やオンライン広告などの視覚情報は時にストレスとなり、集中力を妨げることがあります。「聴く」だけなら、余計なことに気を取られずにリラックスできるのです。

ユーザーにとっては利用のハードルが低いので、デイリーに使いやすくまたリピートに繋がりやすいことがポッドキャストの人気の秘密と言えます。

幅広いニーズに応える多様性とリスナー主体の選択

ポッドキャスト上では現在、3,000万以上のコンテンツが配信されています。ジャンルは多岐に渡り、ニュース、スポーツ、カルチャー、エンターテイメント、教育、ボイスドラマ、ノンフィクションなど、メジャーなものからニッチなものまで様々な種類があります。

加えて、番組のトークスタイルにも多様性があります。一人、または複数人でやるトークショーから、ナラティブ、スクリプトのないインタビュー番組や一切声の入っていない音声のみの番組など、ラジオとはまた違ったスタイルの音声・声の多彩な表現の形が楽しめます。海外の主要メディアや著名人が配信しているポッドキャストチャンネルも多数あります。

ポッドキャストは限られたサムネイル情報だけではコンテンツ内容が十分分からないため、リスナーは自分が興味がある分野から聴いてみるパターンが多いと言われます。ユーザーが興味のありそうなコンテンツをリコメンドしてくれる機能もあるので、リスナーは膨大な選択肢の中から、自分好みのジャンルとトークスタイルのチャンネルを選んで聴くことができます。

新たな学びとエンパワーメントの場

ポッドキャストは、誰でも自由に配信できるプラットフォームのため、トレンドによらないニッチなジャンルに特化した番組も多くあります。また、ユーザー側も基本的に自ら番組を選ぶため、結果的に専門性の高い番組が人気になることが多いです。カジュアルな媒体でありながら、様々なトピックへの理解が深まる場になっています。

ポッドキャスト人気が高いアメリカでは、リスナーの4人に3人は毎月何か新しいことを学ぶためにポッドキャストを聴いているというデータが出ています。配信者のディープな知識、意見や思いに耳を傾けることは刺激になります。自分でも更に知識を蓄え行動しようとするきっかけになっている傾向が見られます。

インティマシー(親密さ・親近感・人間らしさ)が味わえる

ポッドキャストユーザーのエンゲージメント率は他のメディアと比べても高く、その理由として配信者とリスナーの「インティマシー度」の高さが考えられます。

ポッドキャストを聴く人の多くは、一人でコンテンツを楽しみます。閉じられた環境でパーソナリティの生の声が届くため、まるで話し手と一対一で向き合っている様な気持ちになります。パーソナリティそれぞれの個性も際立つので、「嘘のつけない生の声」から等身大の姿が伝わり、その人の素顔に迫れる点も、リスナーが親近感を抱きやすい理由の一つとして挙げることができます。

さらに、お便りやレビュー、リクエストなどを通じた制作側とのインタラクションが頻繁に行われるため、ただ音を聴くだけではない、プラスアルファのコミュニケーションでより親密さが増します。また、同様の関心を持つリスナー同士で番組のコミュニティが作られ、交流が生まれることもあり、利用者はよりアタッチメントを深めていく構造になっています。

配信者から見るポッドキャストの魅力

制作コストと参入ハードルの低さ

配信者側から見ても、ポッドキャストを行うメリットは多くあります。その一つが、コストと参入ハードルが低いことです。新しいメディアに参入する際、イニシャルコストやランニングコストをどこまでかけるかは大切なポイントです。

ポッドキャストは音声に特化したメディアなので、他の媒体に比べて制作費が安い特徴があります。配信者は見た目を整える必要がなく、録音環境さえあれば始められます。カメラや照明などの撮影用の機材や、動画編集の技術も必要ありません。

マーケティング・ブランディングにおけるメリット

ポッドキャストは、広告媒体としても人気が上がってきています。

ポッドキャストは配信者との親密度が高まりやすく、またどこでも聴けるためターゲットであるリスナーの生活に入り込みやすい特徴があります。結果として、他のオンライン媒体と比べて、配信者側の思いやブランド、人となりをリスナーにクリアに届けることができ、また配信者にもリスナーのニーズが分かりやすく伝わるメリットに繋がっています。

また、参入のハードルの低さから、他の媒体ですでにメディアを運営している場合でも、ポッドキャストと連動したインタラクティブな利用が可能です。バズクリエーションを目的として、キャンペーンやイベントと連動させてフォロワーとのコミュニケーションを測るプラットフォームとしても最適です。

人脈作りに役立つ

ポッドキャストの配信者同士の中では、コラボレーションも頻繁に行われます。ポッドキャストには配信の制限が少なく、また日本では比較的ブルーオーシャンなこともあり、インフルエンサーや業界人などに番組出演をしてもらう、ゲストとしてインタビューを行うことができます。自分が活躍したいエリアでの人脈作りに役立ちます。

また、有名人とコラボレーションを測ることによって、その番組におけるポートフォリオの強化にもなり、ホストや番組自体への信頼度も上がります。新たなリスナー層の発掘に繋がる可能性もありますので、コラボレーションは積極的に行なっていきたいです。

フォーマットの自由度が高い

ポッドキャストは配信者にとって、フォーマットの自由度が高く使いやすい利点があります。番組フォーマットに規定はなく、複数でやる対談型、一人トーク型、ストーリー調に発信するなど、オリジナルの方法で配信することができます。

また、リスナーからのコンテンツや番組スタイル、ゲストなどに関するフィードバックにスピード感を持って柔軟に対応できるため、リスナーと共に番組を作成していくスタイルを取ることができます。結果として、リスナーを大切にしていることが伝わり、より番組に対するロイヤルティが高まります。

他メディアとの連携相性が良い

ポッドキャストも、他のメディア媒体と同じようにマネタイズが可能です。例えば、スポンサー広告、アフィリエイト、ファンが毎月番組をサポートする自由参加型のクラウドファンディングプラットフォーム「Patron」などがポッドキャストのマネタイズを支える主な柱です。視覚情報がないゆえに、「イメージとの共存」に対するハードルが他の媒体よりも低いため、比較的色々な業界の広告とコラボレーションすることが可能です。

例えば、クライムドキュメンタリー系のポッドキャスト番組の中で、アロマディフューザーの広告が入るなど、動画ではギャップが生まれそうな場合でも、ポッドキャストではすんなりと受け入れられます。また、番組ウェブサイト、SNS、メルマガ、ブログ、ホストイベントなど他のメディアと掛け合わせることでビジネスチャンスも広がります。

動画広告の成果が示す視覚メディアと音声メディアの相性

最近のGoogleの調査で、広告は見るだけではなく、聴くことと組み合わせて行うとさらに効果が上がる結果が出ています。ポッドキャストを効果的に利用するためには、音声単体でのアプローチだけではなく、特に視覚に特化したSNS(インスタグラム、YouTubeなど)と連携させることによって、より価値を発揮することができます。

他の音声メディアとは何が違うのか

ポッドキャスト以外にも音声メディアはあります。例えば、本の読み上げに特化した「audiobook」や、民法局のラジオを聴くことができる「radiko」、個人が収録したものを配信している「Voicy」「Radiotalk」などが代表です。最近ではYouTuber事務所のUUUMが「Rec.」というアプリを開発し、ますます音声配信の場は増えています。

しかし、ポッドキャストの強みは、配信の内容や手段に縛られないところにあります。 「Voicy」をはじめとしたサービスは、基本的にその中でコンテンツ配信することを前提としています。一方ポッドキャストは、RSSを取得し自分で配信先を決める仕組みです。そのためAppleやGoogleのアプリ以外にも、「Spotify」「Castbox」「Sticher」「himalaya」といったプラットフォームや、オウンドメディアでの配信も行うことができます。

また、配信を開始するにあたっての制限もないため、パーソナリティの知名度やテーマによらず自由にコンテンツを制作することができます。サービス側によって番組が厳選されていないからこそ、リスナーだけのダイヤの原石を発掘することもあるでしょう。

学びをひらく音声メディア。聴き手とともに情緒的な関係構築を

ポッドキャストは、配信者とリスナー、双方にとって自由度の高いメディアです。

リスナーにとっては、スキマ時間やながら視聴ができるため生活の一部として無理せず楽しむことができます。また、番組を通してコミュニティに属しながら、様々な情報が得られる学びの場としては、メリットの多いプラットフォームです。

配信者にとっても、低コストでリスナーと親密な関係が築きやすいプラットフォームはブランディングに最適です。視覚情報がないため、他のメディアとの連携連動も比較的容易く、すでに他のSNSで活躍中の方でも新しい価値を発揮できる場になります。今後も伸びしろが期待される音声メディア「ポッドキャスト」の動きから目が離せません。

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