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MicrosoftがPodcastプロモーションで挑むブランド再構築

2020.03.18

Microsoftといえば、世界シェアNo.1のOS・WindowsやOfiiceで有名な世界的規模のテクノロジーカンパニー。90年代にIT業界における無敵の存在でしたが、2000年代に入りGAFAが飛躍的に成長する中、失速感が目立ちました。

しかし、2014年にサティア・ナデラ氏がCEOに就任後、Microsoftは勢いを取り戻します。「Microsoft Azure」や「Teams」等のクラウドサービスの企業利用が加速し、2019年には時価総額1兆円を達成。現在も順調に業績を伸ばしています。

成熟企業が再び成長した背景には、Microsoft独自のPodcastプロモーション戦略がありました。

Microsoftのイメージを変えたPodcast

Microsoftが多くの番組を持っていることをご存知でしょうか。ラインナップは多岐に渡り、Microsoftの製品や技術を楽しくわかりやすく解説する番組から、未来を定義するテクノロジーについて経営層が語り合う番組、IT・Web業界での女性の働き方に注目した番組まで、幅広い内容で構成されています。

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Microsoftが手掛ける番組の一部。iTunesで「Microsoft」を検索すると、多彩な番組ラインナップが確認できます。

Microsoftが運営するPodcast番組一覧

上記で紹介したのはMicrosoftが単独で運営する番組です。Microsoft社が直接関わらない発信も含めると、Microsoftの製品やコミュニティをテーマにした100以上の番組が世界中で配信されており、Microsoftファンの多さが伺えます。

MicrosoftのおすすめPodcast番組5選

実際に配信されている番組の中から、おすすめの番組・エピソードを5つ紹介しましょう。テクノロジー業界を多様な切り口で語る、ユニークな番組ばかりです。

01.『Behind The Tech with Kevin Scott』

MicrosoftのCTO ケビン・スコット氏が、テクノロジーの未来についてゲストと語らうインタビュー番組です。ゲストはあらゆる年代のテックカンパニーの起業家や学者たち。話題はAIやコンピューターサイエンスからビットコインまで幅広く、魅惑のテクノロジーの世界にはまってしまうこと請け合いです。

おすすめエピソード:『AIで叶えるアメリカン・ドリーム』

Microsoft のCTOであるKevin Scott氏が自身の著書『Reprogramming American Dream』を取り上げたエピソード。共著者であるGreg Shaw氏 をゲストに迎え、地方出身者ならではの視点から進化するAIとビジネスの発展について対談します。

シリコンバレーのようなIT先進都市ではなく、製造業の集まるアメリカ中西部でこそAIを導入することでユニークかつ新しいビジネスが創造されると語るScott氏。

インターネットがあればどこでも働ける現代では、業界間の壁を取り払う胆力こそがビジネスの成長に繋がるという示唆を与えてくれます。身の回りを取り巻く環境や常識に囚われず、一歩外に足を踏み出すことで何か新しいものが見えてくるのではないでしょうか。アメリカに留まらない、夢と希望を与えてくれるエピソードです。

『AIで叶えるアメリカン・ドリーム』

02.『Teams on Air』

Microsoftのグループチャットソフトウェア「Teams」。開発社が、ただのコニュニケーションツールではない「Teams」の楽しみ方を教えてくれます。他のプロダクトと一緒に使う裏技や、ビジネスの現場ですぐに役に立つ情報は、他の人にも教えたくなるTipsが満載です。

おすすめエピソード:『Microsoft Teams活用法』

Microsoft Teamsユーザーをゲストに迎えたインタビューの1つ。UCソルーションロバイダー・ConvergeOneのソリューションアーキテクトであるMarc Wynter氏が、ソフトウェアの活用で実現する組織やチームのあり方を、様々な機能と共に紹介します。

中でも注目なのは、「井戸端会議の場所」としてMicrosoft Teamsを社内ラウンジのように活用するというユニークな取り組み。意外にもプロジェクト管理に限らず、仕事以外の話ができる社員同士のカジュアルなコミュニケーション・ハブとしても機能しているようです。

これを筆頭に、ワークショップやチームビルディングなど本来であれば対面型の社内アクティビティーをオンライン参加型に進化させるという使い方もできるかもしれません。単なるチャットツールに留まらない機能の数々には、従来の組織体制を大きく変える活用方法がまだまだ他にもありそうです。

『Microsoft Teams活用法』

03.『Woman in Business & Technology』

IT・Web業界において成功した著名な女性のインタビューや、女性の働く環境への問題を定義し話し合う番組です。素敵に生きるゲストに向上心を刺激され、聞くだけで明日の元気をもらえる、働く女性のサプリのような番組です。

おすすめエピソード:『The Riveter CEO Amy Nelsonが描く、現代に働く女性像』

アメリカで働く全ての女性のために創設された組織The Riveter CEOのAmy Nelson氏のインタビュー。10年という法人顧問弁護士の経験を経て、なぜThe Riveterを創設したのか、その役割に込める想いと魅力に迫ります。

ワーキングマザーでもある彼女は、子育てと仕事の両立という視点から自らの起業体験を紹介。ビジネスの場に「母親」という肩書きを敢えて持ち込むことの重要性、また子育てをキャリアの一部として捉える新たな価値観に気づかせてくれます。

物事を成し遂げようとする時、何かを諦めるのではなく、全てを受け入れることで人は一層力を発揮できる。仕事や子育てに限らず、何かに挑戦するということ全てにおいて言えることなのかもしれません。働く女性がどうすればより活躍できるのか。理想のワークプレイスとは何か。現代女性を取り巻く労働環境のトレンドやデータも交えながら紐解くインタビューです。

『The Riveter CEO Amy Nelsonが描く、現代に働く女性像』

04.『Modern Workplace』

Modern Workplace

シンプルなIT環境を実現するための有益なユーザーインサイトを毎月お届けする番組です。ワークプレイスを変革しているリーダーたちの人物像にビジネスと技術の両面から迫ります。あらゆるものをシンプルに提供する強力なソリューションは聞き応えがあります。

おすすめエピソード:『チームワーク成功の秘訣』

Microsoftコーポレート部門副社長のJared Spataro氏をゲストに迎え、Microsoftが公開しているチームワークのフレームワークに触れながら、チームとして成功するための要素を紹介します。

あらゆる視点からのインプットの消化が最高のチームパフォーマンスを引き出す。チームとして成功する鍵は、異なる視点に価値を置くカルチャーを作っていくこと。また、新しいアイデアの発掘を目的に企業間ピッチが行われるように、チーム単位で異なる視点を尊重するディスカッションも鍵になりそうです。

後半ではSpataro氏がイベント登壇時に話題を呼んだMicrosoft 365 Teamsの良さを分かりやすく解説。テクノロジーの有効活用とチームパフォーマンスの相関性が見えてきます。最新のFluid Framework情報までカバーされた必聴コンテンツ満載のエピソードにです。

『チームワーク成功の秘訣』

Microsoftが多数のPodcast番組を手掛ける2つの理由

なぜ、Microsoftはこれほど多くの番組を配信しているのでしょうか。大きく2つの理由が考えられます。

理由1:新しいMicrosoftブランドの構築

2000年代の「Microsoftは全盛期を過ぎた」というイメージを払拭するべく、Microsoftは先進的な切り口で、ブランドイメージの再構築を開始します。そこで注目されたのが、2009年より不定期に運用されてきたPodcastの本格活用です。

従業員12万人の巨大企業がゆえに、エンドユーザーまで届かない企業の多くの魅力をPodcast番組に整理し、世界中の人がアクセスできるようにすることで、Microsoftの動きをリアルタイムで追える機会を格段に増やしました。

ユーザーがより身近に感じることのできる音声ツールを用いることで、曖昧だった企業イメージが、一気にクリアになったのです。

実際、CTOとテクノロジー分野の専門家が、AIやコンピューターサイエンスの未来について語る『Behind The Tech with Kevin Scott』でユーザーたちは、Microsoftが描く壮大な世界感を知ることができますし、次世代のクリエイターたちの舞台裏やカルチャー紹介する『In Culture』では、Microsoftの多様な未来を感じます。

理由2:多様化したMicrosoft製品ユーザーの継続的サポート

近年、これまで小売りしていた製品を、クラウド型サブスクリプションでの販売に切り替えたことで、よりユーザーとの継続的な関係を深く築くことが必要になりました。

そこで、Podcast上でユーザーの疑問を解消し、継続的にサービスを利用してもらうための番組が数多く作成されます。

チャットソフトウェア「Teams」の活用方法を紹介する番組『Teams on Air』や、クラウドサービス「Azure」をエンジニアとともに解説する番組『Azure Friday』などがそれにあたるでしょう。

普段露出の少ないプロダクトラインに光をあてる番組では、エンドユーザーがMicrosoftの技術力の高さを再認識することができ、他社との差別化を明確にする効果もあります。

共通理念のもとで成立する、多彩なPodcast運用

100以上の多岐にわたるPodcast番組は、一見バラバラなようでも、「革新的で、親しみやすく、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する会社」というMicrosoftの理念が共通して根付いています。だからこそ、多くの番組の共存が成立するのではないでしょうか。

昨今、企業がオウンドメディアとしてPodcastを活用する事例が増えていますが、ブランディングを効果的に行いたい企業広報担当者の方にとって、Microsoftの事例は多くの学びがあるでしょう。

今後のMicrosoftの事業展開、Podcastの新たな活用方法に注目していきたいところです。

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