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新規ポッドキャストリスナーの77%が動画で視聴!米国最新調査が示すターゲット層の変化と企業がとるべき戦略

2025.09.15

smnl-podcast-video-trend-japan 「ポッドキャスト」と聞くと、多くのビジネスパーソンは通勤中や作業中に「ながら聴き」する音声メディアを想像するかもしれません。しかし、その常識が今大きく変わろうとしています。

米国の調査会社Edison Researchが発表した最新データによると、ポッドキャストを聴き始めて1年未満の新規リスナーのうち、77%がビデオ付きのポッドキャストを視聴していることが明らかになりました(出典:https://www.edisonresearch.com/new-podcast-consumers-actively-engage-with-video-content/)この事実は、ポッドキャストがもはや単なる「聴く」メディアから「見る」メディアへと進化していることを明確に示しています。

この記事ではこの衝撃的な調査結果を基に、ポッドキャストのビデオ化がなぜ加速しているのか、その背景にある消費者行動の変化とプラットフォームの動向を分析します。そして、この市場の変化をビジネスチャンスに変えるための具体的なマーケティング戦略を解説します。

1. 米国ポッドキャスト市場の今:Edison Research最新調査を深掘り

1-1. 「新規リスナーの77%がビデオ視聴」データが示す潮目の変化

今回発表されたEdison Researchの調査結果で最も注目すべきは、リスナーの経験値によってポッドキャストの楽しみ方が大きく異なる点です。

  • 新規リスナー(聴取歴1年未満): 77%がビデオ付きポッドキャストを視聴。
  • 長年のリスナー(聴取歴5年以上): 音声のみのポッドキャストを好む傾向が依然として強い。

このデータは、新しい世代のリスナーが、音声だけでなく

視覚情報を伴うコンテンツとしてポッドキャストを認識し、受け入れていることを示唆しています。これまでポッドキャストの価値は、他の作業をしながらでも楽しめる「目を使わない」点にあるとされてきました。しかし、新規参入者にとってその価値提案は必ずしも当てはまらなくなっているのです。

1-2. なぜリスナーは「聴く」から「見る」へ移行しているのか

この変化は単なるトレンドではなく、複数の要因が絡み合った必然的な結果と言えます。

第一に、スマートフォンの普及と高性能化です。誰もが高画質な動画を手軽に視聴できる環境が整ったことで、音声コンテンツにもビデオが伴うことが自然になりました。

第二に、プラットフォーム間の競争です。特に世界最大の動画プラットフォームであるYouTubeが、ポッドキャストの主要な視聴場所としての地位を確立したことが大きな影響を与えています。クリエイターはYouTubeの巨大なユーザーベースと収益化システムに魅力を感じ、ビデオ付きでポッドキャストを配信するようになりました。それに追随する形で、Spotifyなどもビデオポッドキャスト機能を強化しており、業界全体でビデオ化が加速しています。

2. 対岸の火事ではない?日本のポッドキャスト市場への影響

2-1. 国内データで見るビデオポッドキャストの現在地と若年層の動向

米国のトレンドは、日本市場にも着実に波及しています。株式会社オトナルと朝日新聞社が共同で実施した「第5回ポッドキャスト国内利用実態調査」によると、日本のポッドキャストユーザー全体の30.7%がビデオポッドキャストの視聴経験があると回答しています。

さらに注目すべきは若年層の動向です。20代の視聴経験率は44.3%に達しており、若い世代ほどビデオでの視聴に積極的であることがわかります。これは、米国の新規リスナーの傾向と一致しており、日本においても次世代のリスナーが市場のビデオ化を牽引していく可能性を示唆しています。

2-2. 米国トレンドは日本でも起こるのか?市場の共通点と考察

日米の市場には、プラットフォームの利用状況にも共通点が見られます。国内の調査でも、ポッドキャストを聴く際に最も利用されているサービスはYouTubeであり、次いでSpotifyとなっています。

このことから、YouTubeの強力な推薦アルゴリズムや「ながら視聴」ではない能動的な視聴スタイルが、日本でもポッドキャストの発見と消費のあり方に大きな影響を与えていると考えられます。米国で起きている「リスナーのビデオネイティブ化」は、日本市場においても、もはや無視できない潮流となりつつあるのです。

3. 日本企業が取るべき、これからのポッドキャストマーケティング戦略

では、日本の企業はこの大きな変化の波にどう乗るべきでしょうか。

3-1. 広告媒体としての再評価:視覚情報がもたらす新たなリーチと訴求力

ビデオポッドキャストは、広告媒体としての価値を大きく向上させます。音声広告では伝えきれなかった商品のデザインや使用イメージ、サービスの画面などを視覚的に訴求できるため、視聴者の理解度とエンゲージメントを高める効果が期待できます。

また、ホストが実際に商品を使いながらレビューする姿を見せることで、より高い信頼性と説得力を持たせることが可能です。これまで音声広告の効果に課題を感じていた企業にとって、ビデオポッドキャスト広告は新たな選択肢となるでしょう。

3-2. オウンドメディア活用の新常識:コンテンツ再利用で日本市場のエンゲージメントを高める

オウンドメディアとしてポッドキャストを運営する際は、「コンテンツの再利用(リパーポージング)」を前提とした戦略が極めて有効です。

例えば、1本の長尺ビデオポッドキャストを収録すれば、そこから以下のような多様なコンテンツを生み出せます。

  • 完全版のビデオポッドキャスト(YouTube向け)
  • 音声のみのバージョン(Spotify、Apple Podcasts向け)
  • 内容を要約した短尺動画(TikTok、Instagramリール、YouTubeショート向け)
  • 文字起こしを元にしたブログ記事(ウェブサイトのSEO強化)

この戦略により、一つのコンテンツ制作の手間を最小限に抑えつつ各プラットフォームの特性に合わせた最適な形で情報を届け、日本市場のターゲット顧客との接点を最大化し、エンゲージメントを高めることが可能になります。

4. 国内外の先行事例に学ぶ、日本市場での応用ヒント

4-1. ブランドストーリーを効果的に伝えるコンテンツ設計

成功事例の多くは、単なる商品説明に終始するのではなく、ブランドの背景にあるストーリーや思想、開発秘話などを伝えることで、視聴者との情緒的なつながりを構築しています。ビデオという特性を活かし、社員の表情やオフィスの雰囲気を見せることでブランドへの親近感を醸成し、ファンを育成することに成功しています。

4-2. 投資対効果を最大化するKPI設定と効果測定

ビデオポッドキャストの投資対効果(ROI)を測る上で、再生回数やダウンロード数といった従来の指標だけでは不十分です。YouTubeのコメント数や内容のポジティブ率、SNSでの言及数(エンゲージメント数)、オンラインイベントへの参加率や満足度といったコミュニティの活性度やファンの熱量を測る具体的な指標をKPIに設定することが重要です。視聴者との双方向のコミュニケーションを促す企画を取り入れ、長期的なファン育成を目指す視点が成功の鍵となります。

5. まとめ:米国の調査結果を、日本市場でのビジネスチャンスに変えるために

今回ご紹介したEdison Researchの調査結果は、ポッドキャストが「聴く」だけの時代を終え、

映像を伴うリッチなコンテンツへと進化している現実を浮き彫りにしました。特に、これからの消費の中心となるZ世代や若年層は、ビデオがあることを前提にコンテンツに接しています。

この変化は、日本の企業にとって大きなビジネスチャンスです。

  • ターゲット層の再定義: あなたのメッセージは、日本の「ビデオネイティブ」世代に届いていますか?
  • プラットフォーム戦略の見直し: YouTubeをポッドキャスト配信の主要チャネルとして位置づけていますか?
  • コンテンツ戦略のアップデート: 映像の力を活用し、より深くブランドを伝えられていますか?

「音声か、ビデオか」という二者択一で考えるのではなく、両者を組み合わせた統合的なコンテンツ戦略を立てることが、これからのポッドキャストマーケティングを成功に導く鍵となるでしょう。


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曽志崎 寛人
PROPO.FM Producer
曽志崎寛人
歴史ポッドキャスト「ラジレキ〜ラジオ歴史小話」 ナビゲーター