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常に新しい企画や斬新なアイデアを出さなければ飽きられてしまう――そう考える担当者は少なくありません。しかし、一貫性こそが熱心なファンを作るための最短ルートであると示唆する興味深い考察があります。
ウェブサイト作成サービスPodpageの責任者でありポッドキャストの専門家であるDave Jackson氏は、人気映画チャンネル「ホールマーク・チャンネル」の成功法則を例に挙げ、ポッドキャストにおける一貫性の重要性を説いています(出典: https://www.podpage.com/)
本記事では、同氏の主張を基に、ビジネスパーソンが音声配信で成果を出すための戦略を解説します。
1. なぜ「マンネリ」が最強の武器になるのか
1-1. ホールマーク映画に見る「安心感」の正体
アメリカのケーブルテレビ「ホールマーク・チャンネル」で放映される映画には、ある際立った特徴があります。それは、ストーリー展開が極めて予測可能であるということです。
「反りの合わない二人が出会い、恋に落ち、最後は心温まる奇跡が起きてハッピーエンドを迎える」。視聴者はチャンネルを合わせた瞬間から、この結末が訪れることを知っています。一見すると、これは退屈な「マンネリ」に見えるかもしれません。
しかし、これこそが視聴者が求めているものなのです。視聴者は、その心地よい一貫性を期待してチャンネルを選んでいます。ビジネスにおけるポッドキャスト配信においても、これと同様のことが言えます。
1-2. 視聴者との「約束」を守る
視聴者があなたの番組を聴くのは、そこに期待する何かがあるからです。特定のフォーマット、トピック、あるいは語り口など、視聴者の共感を呼ぶ要素が見つかったなら、それを貫くことが重要です。
それは単なる繰り返しではなく、視聴者の期待に応え続けるという信頼の積み重ねでもあります。ホールマーク映画のファンが「いつもの展開」を求めているように、ポッドキャストのリスナーもまた、期待通りの価値が提供されることを望んでいます。
2. 変化と一貫性のバランス戦略
2-1. ブランドの軸をぶらさない重要性
「同じフォーマットばかりでは飽きられるのではないか」という懸念を持つ方もいるでしょう。しかし、偉大な成功を収めたアーティストたちの事例を見ると、必ずしも変化だけが正解ではないことがわかります。
例えば、AC/DCのような象徴的なミュージシャンは、自分たちのスタイルを確立し、それを貫くことでファンの忠誠心を獲得しました。一方で、カントリー歌手のGarth Brooksが「Chris Gaines」という別人格で全く異なるジャンルに挑戦した際は、ファンが愛していた要素からあまりに乖離していたため、失敗に終わりました。
ビジネスにおける情報発信でも、苦労して見つけた「勝ちパターン(自社のスタイルと視聴者のニーズが合致するポイント)」を安易に手放すべきではありません。一見すると創造性が制限されるように感じるかもしれませんが、その制約こそが視聴者を惹きつけ続ける要因となります。
2-2. 安全にイノベーションを取り入れる方法
もちろん、一切の新しい試みをしてはいけないわけではありません。重要なのは、番組の核となるアイデンティティを保ったまま実験を行うことです。
例えば、100回ごとの記念エピソードで少し変わった企画を行うなど、適度な変化はリスナーにとっても良いスパイスとなります。しかし、そのような新規性を取り入れる際も、番組の本質や独自の価値観は維持されなければなりません。
3. 明日から実践できる3つのステップ
ポッドキャストやオウンドメディアの運営において、担当者が意識すべきアクションプランは以下の通りです。
3-1. 自社の「勝利の方程式」を特定する
まず、視聴者があなたのコンテンツのどこを愛しているのかを分析してください。繰り返し戻ってくるリスナーが求めている核となる要素は何でしょうか。
データ分析やアンケート機能を活用し、客観的な指標に基づいて自社の強みを把握することが第一歩です。
3-2. 特定したスタイルに徹する
勝ちパターンが見つかったら、自信を持ってそのスタイルを継続してください。視聴者はあなたのコンテンツの一貫性を信頼しています。ビジネスにおいては、予測可能な品質を提供し続けること自体が、強力なブランディングになります。
3-3. 慎重に革新を取り入れる
新しい試みを行う際は、常に視聴者の期待という土台の上に立っていることを忘れないでください。完全に別のものに変えるのではなく、既存のファンが安心して楽しめる範囲でのアップデートを心がけましょう。
4. まとめ
ポッドキャストの成功は、ホールマーク映画の成功と似ています。一度見つけた成功法則を一貫して提供し続けることで、視聴者に安心感と満足感を与えることができます。
「いつも通りの優れたコンテンツ」を提供し続けることは、決して停滞ではありません。それは視聴者との信頼関係を築き、強固なエンゲージメント(顧客との深い繋がり)を生み出すための最も確実な戦略です。
次回の配信では、奇をてらった企画ではなく、リスナーが最も求めている「いつもの価値」を、最高の品質で届けることに注力してみてはいかがでしょうか。
参考情報
・The Power of Consistency in Podcasting – Podpage (https://www.podpage.com/blog/podcast-consistency/ )
・Why Christmas Movies Make Us Feel Good – Psychology Today (https://www.psychologytoday.com/ca/blog/positively-media/202212/why-christmas-movies-make-us-feel-good )
・What AC/DC can teach us about building a brand – Medium (https://robvoase.medium.com/what-ac-dc-can-teach-us-about-building-a-brand-25b79e18e015 )
・Garth Brooks as Chris Gaines: 20 Years Later – The Boot (https://theboot.com/chris-gaines-garth-brooks-career-impact/ )
・How Many Podcasts Are There? (2025 Growth Stats) – DemandSage ( https://www.demandsage.com/podcast-statistics/ )
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