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「ポッドキャスト(Podcast)」という名前は知っているけれど、実際に利用したことはない、という人は多いのではないでしょうか。ポッドキャストは、インターネット上で配信されているオーディオコンテンツです。
リスナーは「Apple Podcast」や「Google Podcasts」をはじめ、様々なスマホアプリで、誰でも簡単に利用することができます。最近、海外ではスキマ時間にハンズフリーで楽しめるポッドキャストの人気が盛り上がりを見せています。その影響を受けて、日本でもじわじわ人気が出てきているようです。
今回は、リスナー視点、配信者視点それぞれから見るポッドキャストの魅力をご紹介します。
音声メディア「ポッドキャスト」の視聴者動向
18歳以上のほとんどが1日12時間は何かしらのインターネットメディアで時間を費やしていると言われる中、近年のポッドキャストの利用者数の増加には目を見張るものがあります。
データが示すポッドキャストの人気
特にアメリカでは2014年から人気が沸騰しており、12歳以上の人口の約51%がポッドキャストを利用し、その82.4%は週7時間以上聴くというヘビーユーザーです。
現在でもその成長は止まらず、年平均成長率20%、2018年に週間4,800万人だったリスナーも2021年には1億1,500万人まで増えると予測されています。
また、リスナーだけではなく配信者も増え、2年前にはわずか50万だった番組数が今年1月には85万を超え、3,000万以上のエピソードが配信されています。
ビジネスとしても高い注目を浴びる
企業からの関心も高く、2021年にはデジタル音声広告の収益は10億を越えると言われています。
Spotify社による大手ポッドキャスト制作会社Gimlet Mediaの買収、「ポッドキャストのNetflixを作る」と掲げベンチャーから1億ドルの資金調達を行った「Luminary」の台頭など、拡大し続ける市場にますます注目が集まるところです。
音声メディアは、動画・テキストメディアと比べてわかりづらい?
音声メディアの一番の特徴は、視覚的な情報がほとんど存在しないということです。そのため、最終的には「聴いてみないと面白いのか分からない」というのが現状です。
一方、ほかのメディアには以下のような特徴があります。
■動画・映像メディア(映画、アニメ、SNS、YouTubeなど)
- 視覚から入るためわかりやすい
- 演出でユーザーを惹きつけやすい
■文字・テキストメディア(本、漫画、ブログ、noteなど)
- 情報が整理されている
- 密度の濃い情報を効率よく吸収できる
上記のように、情報の伝達効率の高さではほかメディアの後塵を拝する音声メディア・ポッドキャストですが、リスナーはどのような部分に価値を感じているのでしょうか?
リスナー視点・配信者視点の両側面から、ポッドキャストの魅力を見ていきましょう。
リスナーから見るポッドキャストの魅力
カジュアルに楽しめ、ライフスタイルに組み込みやすい
ポッドキャストの最大の強みは、他のメディアコンテンツに比べて利用する際の自由度が高く、どんなライフスタイルのユーザーでも同じように楽しめる点です。
動画やテキストを楽しむには、ある程度まとまった時間が必要です。しかし、ポッドキャストなら、移動中や、家事の最中、ジムで運動しながら「ながら聴き」で楽しむことができます。忙しい現代人のライフスタイルにぴったりのコンテンツなのです。
情報量については、聴覚のみを使用するために逆に情報収集にフォーカスできる、というメリットがあります。多すぎる視覚情報は時に集中力を妨げることがあります。「聴く」だけなら、余計なことに気を取られずにリラックスできるのです。
ユーザーにとっては利用のハードルが低いので、デイリーに使いやすくまたリピートに繋がりやすいことがポッドキャストの人気の秘密と言えます。
幅広いニーズに応える多様性とリスナー主体の選択
ポッドキャスト上では現在、3,000万以上のコンテンツが配信されており、内容は多岐に渡ります。一部の例をご紹介します。
- ジャンル:ニュース、スポーツ、カルチャー、エンターテイメント、教育、ボイスドラマ、ノンフィクションなど
- スタイル:ひとりまたは複数人のトークショー、インタビュー番組、声の入っていない音声のみの番組(環境音)など
ポッドキャストは実際に聴いてみるまで内容が分かりづらいため、リスナーは自分がある程度興味がある分野から聴いてみるパターンが多いです。おすすめをリコメンドしてくれる機能もあるので、リスナーは膨大な選択肢の中から、自分好みのチャンネルを選んで聴くことができます。
新たな学びとエンパワーメントの場
ポッドキャストは自由度が高い分、トレンドによらないニッチなジャンルに特化した番組も多くあります。また、ユーザー側も基本的に自ら番組を選ぶため、結果的に専門性の高い番組が人気になることが多いです。カジュアルな媒体でありながら、様々なトピックへの理解が深まる場になっています。
アメリカでは、リスナーの4人に3人は毎月何か新しいことを学ぶためにポッドキャストを聴いているというデータが出ています。配信者のディープな知見に耳を傾けることで、自分でも更に知識を蓄え行動しようとするきっかけになる傾向が見られます。
インティマシー(親密さ・親近感・人間らしさ)が味わえる
ポッドキャストユーザーのエンゲージメント率は他のメディアと比べても高く、その理由として配信者とリスナーの「インティマシー度」の高さが考えられます。
通常、ポッドキャストはヘッドフォンを利用して一人で楽しむことが多いです。パーソナリティの生の声が直接届くため、まるで一対一で向き合っているような気持ちになります。「嘘のつけない生の声」からその人の素顔に迫れる点も、親近感を抱きやすい理由のひとつとして挙げることができます。
さらに、お便りやレビュー、リクエストなどを通じた制作側とのインタラクションが頻繁に行われるため、ただ聴くだけではない、プラスアルファのコミュニケーションでより親密さが増します。また、リスナー同士で交流が生まれることもあり、利用者はよりアタッチメントを深めていく構造になっています。
配信者から見るポッドキャストの魅力
制作コストと参入ハードルの低さ
配信者側から見ても、ポッドキャストを行うメリットは多くあります。その一つが、コストと参入ハードルが低いことです。新しいメディアに参入する際、どこまでイニシャルコストを掛けるか、またランニングコストはどれくらいになるのかというのは大切なポイントです。
ポッドキャストは音声に特化したメディアなので、他の媒体に比べて制作費が安いという特徴があります。配信者は見た目を整える必要がなく、録音環境さえあれば始められます。カメラや照明などの撮影用の機材や、動画編集の技術も必要ありません。
マーケティング・ブランディングにおけるメリット
ポッドキャストは、広告媒体としても人気が上がってきています。
ポッドキャストは親密度が高まりやすく、またどこでも聴けるためリスナーの生活に入り込みやすい特徴があります。結果として、他のオンライン媒体と比べて、配信者側の想いやブランド、人となりをクリアに届けることができ、また配信者にもリスナーのニーズが分かりやすく伝わるというメリットに繋がっています。
また、参入のハードルの低さから、他の媒体ですでにメディアを運営している場合でも、ポッドキャストと連動したインタラクティブな利用が可能です。バズクリエーションを目的として、キャンペーンやイベントと連動させてフォロワーとのコミュニケーションをはかるプラットフォームとしても最適です。
人脈作りに役立つ
配信者同士では、コラボレーションも頻繁に行われます。日本ではまだ比較的ブルーオーシャンなので、自分が活躍したいエリアのインフルエンサーや業界人に出演してもらい、人脈作りに役立てることもできます。
また、有名人とコラボレーションを図ることによって、その番組におけるポートフォリオの強化にもなり、ホストや番組自体への信頼度も上がります。新たなリスナー層の発掘に繋がる可能性もありますので、コラボレーションは積極的に行なっていきたいところです。
フォーマットの自由度が高い
ポッドキャストは配信者にとって、フォーマットの自由度が高く使いやすいという利点があります。複数での対談型、一人トーク型、ストーリー調など、オリジナルの方法で配信することができます。
また、リスナーからのフィードバックにスピード感を持って柔軟に対応できるため、リスナーと共に番組を作成していくスタイルを取ることができます。結果として、より番組に対するロイヤルティが高まります。
他メディアとの連携相性が良い
ポッドキャストも、他のメディア媒体と同じようにマネタイズが可能です。例えば、スポンサー広告、アフィリエイト、ファンが番組をサポートするクラウドファンディングプラットフォーム「Patreon」などがマネタイズを支える主な柱です。
視覚情報がないゆえに、「イメージとの共存」に対するハードルが他の媒体よりも低いため、比較的色々な業界の広告とのコラボレーションが可能です。例えば、クライムドキュメンタリーの中で、アロマディフューザーの広告が入っても、音声ではすんなりと受け入れられます。
また、番組ウェブサイト、SNS、メルマガ、ブログ、ホストイベントなど他のメディアと掛け合わせることでビジネスチャンスも広がります。
動画広告の成果が示す視覚メディアと音声メディアの相性
最近のGoogleの調査で、広告は見るだけではなく、聴くことと組み合わせるとさらに効果が上がるという結果が出ています。
ポッドキャストを効果的に利用するためには、音声単体でのアプローチだけではなく、特に視覚に特化したSNS(インスタグラム、YouTubeなど)と連携させることによって、より価値を発揮することができます。
他の音声メディアとは何が違うのか?
ポッドキャスト以外にも音声メディアはあります。例えば、本の読み上げに特化した「audiobook」や、民法局のラジオを聴くことができる「radiko」、個人が配信している「Voicy」「Radiotalk」などが代表です。最近ではYouTuber事務所のUUUMが「Rec.」というアプリを開発し、ますます音声配信の場は増えています。
しかし、ポッドキャストの強みは、配信の内容や手段に縛られないところにあります。自由に作成して自分で配信先を決めるという仕組みなので、純正アプリ以外にも、「Spotify」「Castbox」「Stitcher」「himalaya」といったプラットフォームや、オウンドメディアでの配信も行うことができます。
サービス側によって番組が厳選されていないからこそ、リスナーだけのダイヤの原石を発掘することもあるでしょう。
学びをひらく音声メディア。聴き手とともに情緒的な関係構築を
ポッドキャストは、配信者とリスナー、双方にとって自由度の高いメディアです。
リスナーにとっては、スキマ時間やながら視聴ができるため生活の一部として無理せず楽しむことができます。また、番組を通してコミュニティに属しながら、様々な情報が得られる学びの場としては、メリットの多いプラットフォームです。
配信者にとっても、低コストでリスナーと親密な関係が築きやすいプラットフォームはブランディングに最適です。視覚情報がないため、他のメディアとの連携連動も比較的容易く、すでに他のSNSで活躍中の方でも新しい価値を発揮できる場になります。
今後も伸びしろが期待される音声メディア「ポッドキャスト」の動きから目が離せません。
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