podcasting 「聴く」を楽しむ深堀りコラム

動画も音声もこれ1つで完結!ポッドキャストの再生体験を劇的に変えるFountainの新機能とは

2026.01.07

smnl-fountain-open-video-podcast 「このポッドキャスト、動画で見たいけれど通信量が気になる……」

「移動中は音声で聴いて、家に帰ったら続きを動画で見たいけれど、アプリを切り替えるのが面倒」

日常的にポッドキャストを楽しんでいるビジネスパーソンの皆様なら、このような小さなストレスを感じた経験があるのではないでしょうか。

これまで、ポッドキャストといえば音声が主流であり、動画を楽しむにはYouTubeへ移動するかSpotifyなどの特定プラットフォームを利用するしかありませんでした。しかし、その常識を覆す画期的なニュースが飛び込んできました。

2025年12月、ポッドキャストアプリ「Fountain(ファウンテン)」が、ビデオポッドキャストをオープンにする(It’s Time to Make Video Podcasting Open)という声明と共に、新しい配信方式を発表しました(出典: https://blog.fountain.fm/p/video-podcasts

この新機能は、YouTubeやSpotifyといった巨大プラットフォームとは一味違う、真にリスナー本位な体験を提供する可能性を秘めています。本記事では、Fountainの発表が私たちの視聴スタイルをどう変えるのか、技術的な背景を噛み砕きながら解説します。

1. ポッドキャストの視聴スタイルが変わる?Fountainの最新発表

近年、ポッドキャスト業界では動画化が急速に進んでいます。しかし、そこにはリスナーとクリエイター双方にとっての分断という課題がありました。Fountainの今回の発表は、この構造的な課題に一石を投じるものです。

1-1. 音声と動画の壁を取り払う新しい視聴体験

これまで、ポッドキャストの動画版(ビデオポッドキャスト)を視聴しようとすると、リスナーは不便な選択を迫られていました。

  • 音声版(RSSフィード): Apple Podcastsなどの使い慣れたアプリで聴けるが、映像はない。
  • 動画版(YouTubeなど): 映像は見られるが、バックグラウンド再生やオフライン再生には有料プランが必要な場合が多く、専用アプリへの移動が必要。

つまり、音声と動画の間には明確な壁が存在していました。Fountainが提唱したのは、この壁を取り払い、1つのフィード(番組登録)で音声と動画の両方をシームレスに提供するというアプローチです。

これにより、リスナーは音声で聴くか、動画で見るかを事前に決めてアプリを選び分ける必要がなくなります。一つの番組登録だけで、その時々の状況に合わせて最適な視聴方法を選択できるようになるのです。

1-2. YouTubeやSpotifyでの視聴と何が違うのか

「動画ならYouTubeやSpotifyですでに見ている」と思われるかもしれません。確かに、これらのプラットフォームはポッドキャストの動画視聴において大きなシェアを持っています。しかし、これらはウォールド・ガーデン(囲い込み)と呼ばれる閉じた生態系の中で機能しています。

  • YouTube: 動画共有サイトであり、音声だけのポッドキャストとは仕組みが根本的に異なります。RSSフィードを取り込む機能はありますが、独自サーバーに変換されるため、オリジナルの配信環境とは切り離されます。
  • Spotify: アプリ内で音声と動画を切り替えられますが、その動画はSpotifyに直接アップロードされた独自のものです。Apple Podcastsや他のアプリを使っているユーザーには、その動画は届きません。

対してFountainが目指しているのは、オープンなRSSエコシステムの中での動画配信です。これは、特定の企業のアプリに依存せず、インターネットの標準的な技術を使って、誰でも自由に動画付きポッドキャストを発信・受信できる仕組みです。

現時点ではFountainなどの対応アプリが必要ですが、将来的にはこの規格が普及することで、どのポッドキャストアプリを使っていても動画が見られる世界を目指しています。

2. リスナーにとっての3つの具体的メリット

技術的な話は少し難しく聞こえるかもしれませんが、私たちリスナーにとってのメリットは非常にシンプルで実用的です。Fountainの新方式がもたらす3つの利点を見ていきましょう。

2-1. 通信量の節約に直結するHLSストリーミングの仕組み

最大のメリットは、スマホのデータ通信量の節約です。

かつてのビデオポッドキャストは、巨大な動画ファイルを丸ごとダウンロードする方式が主流でした。これでは外出先でうっかり再生すると、あっという間に通信制限にかかってしまいます。

Fountainは、この問題を解決するためにHLS(HTTP Live Streaming)という技術を採用しました。これはNetflixやYouTubeなどの動画配信サービスでも使われている標準的な技術で、以下の特徴があります。

  • ストリーミング再生: ファイル全体をダウンロードするのではなく、数秒ごとに分割して少しずつ読み込みます。見たい部分だけを受信するため、無駄がありません。
  • 画質の自動調整(アダプティブ・ビットレート): 通信速度に合わせて、画質を自動で最適化します。Wi-Fi環境では高画質(1080p)、移動中のモバイル通信では標準画質(480p)といった具合に調整されるため、動画が止まりにくく、かつ通信量を抑えることができます。

「動画は見たいけどパケット代が怖い」というリスナーにとって、この技術革新は非常に大きな意味を持ちます。

2-2. 歩きながら聴くから座って見るへ一瞬で切り替え

2つ目のメリットは、視聴スタイルの自由度です。

Fountainの実装はオーディオファースト(音声優先)の思想で設計されています。アプリを開くと、基本的には通常のポッドキャストと同様に音声再生が始まります。しかし、画面上のボタンをタップするだけで、即座に動画再生へと切り替わります。

例えば、こんな使い方が可能になります。

  1. 通勤電車(混雑時): スマホをポケットに入れて、音声だけで楽しむ。
  2. 乗り換えの待ち時間: 少し余裕ができたので、ボタンを押して動画に切り替え、出演者の表情や資料映像を確認する。
  3. 歩行中: 再び音声のみに戻す。

重要なのは、音声と動画が完全に同期している点です。切り替えた瞬間に映像が最初から始まったり、再生位置がずれたりすることはありません。シームレスに行き来できる体験は、忙しい現代のビジネスパーソンにとって快適な視聴環境を提供します。

2-3. 複数のアプリを行き来する必要がなくなる

3つ目は、アプリ管理の簡素化です。

お気に入りの番組が「音声版はApple Podcasts、動画版はYouTube」と分かれている場合、更新チェックのために複数のアプリを巡回する必要があります。

Fountainの方式が普及すれば、1つのRSSフィードに音声と動画の両方の情報が含まれるため、一つのアプリですべての更新を管理できます。

「この番組は動画で見たい」「あの番組は音声で十分」といった振り分けをユーザー自身が意識する必要がなくなり、すべてのコンテンツが1つのプレイリストに収まるようになります。これは、情報収集の効率化という観点からも大きなメリットと言えるでしょう。

3. なぜ今「オープンな動画配信」が重要なのか

ここまでリスナー視点での利便性を解説してきましたが、少し視座を広げて、なぜFountainが今このタイミングでオープン化を推進しているのか、その背景にも触れておきましょう。

3-1. 過去のiTunes時代との違いと進化

実は、ポッドキャストで動画を配信するというアイデア自体は新しいものではありません。2005年頃、AppleのiTunes(当時)はすでにビデオポッドキャスト(Vodcast)をサポートしていました。

しかし、当時はスマートフォンも普及しておらず、前述した通り巨大なファイルをダウンロードするしか方法がありませんでした。結果として、利便性の悪さからビデオポッドキャストは一度廃れてしまい、ポッドキャスト=音声という認識が定着しました。

現在、Fountainが提唱しているのは、当時の失敗を教訓に、最新のストリーミング技術(HLS)とポッドキャストの標準規格(Podcasting 2.0)を組み合わせた、現代版のビデオポッドキャストです。

通信インフラが整い、技術が進化した今だからこそ、かつては実現できなかった快適なオープン動画配信が可能になったのです。

3-2. 特定のプラットフォームに縛られない自由な視聴環境

もう一つの重要な背景は、巨大プラットフォームへの対抗軸としての意味合いです。

YouTubeやSpotifyは非常に便利ですが、彼らのルールやアルゴリズム変更によって、ある日突然お気に入りの番組が見られなくなったり、検索結果に出てこなくなったりするリスクもゼロではありません。

Fountainが推奨するオープンな方式は、RSSというインターネットの基本技術に基づいています。これは誰か一人の所有物ではなく、メールやウェブサイトと同じように誰もが使える仕組みです。

配信の主導権がプラットフォーム企業ではなく、クリエイターとリスナーの手に委ねられていること。これこそが、ポッドキャスト文化の健全な発展にとって重要であり、私たちが多様なコンテンツを楽しみ続けるための土台となります。

4. まとめ:これからのポッドキャストは「聴く」も「見る」も自由自在

Fountainが発表した新しいビデオポッドキャストの仕組みは、単なる機能追加にとどまらず、私たちのメディア接触スタイルをより自由で快適なものへとアップデートしてくれます。

  • 通信量を気にせず、高画質な動画を楽しめる。
  • シーンに合わせて、音声と動画を自由に行き来できる。
  • 特定のアプリに縛られず、オープンな環境でコンテンツを楽しめる。

現時点ではFountainなどの一部対応アプリに限られますが、2026年に向けてこの動きは広がっていくと予測されています。

聴くだけでも楽しいポッドキャストですが、見る選択肢がシームレスに加わることでその体験はさらに豊かになるはずです。もしあなたが新しいもの好きのリスナーであれば、ぜひ一度Fountainを試してみて、次世代のポッドキャスト体験を先取りしてみてはいかがでしょうか。

参考情報

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曽志崎 寛人
PROPO.FM Producer
曽志崎寛人
歴史ポッドキャスト「ラジレキ〜ラジオ歴史小話」 ナビゲーター