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世の中が目まぐるしく変化し、働き方の多様化が一気に進む近年、従来に比べて起業家を目指す人が増えているように思います。
「いま」というこの時代に、起業家というキャリアを選択することには、どのような魅力があるのでしょうか。
この記事では「これから起業したい」「起業すべきか悩んでいる」といった方に向けて、起業家に挑戦する価値や、全ビジネスマンにも共通する、成功する起業家のアントレプレナーシップなどについて解説します。
また、多くのスタートアップに伴走してきたベンチャーキャピタリストならではの視点で語る「起業家に必要な資質」についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
起業家というキャリアを目指す選択肢
身近になった起業への道
ひとりでも起業は可能
かつて、株式会社の設立には1,000万円、有限会社は300万円という、最低限の決められた資本金が必要でした。また、取締役の人数などにも規定があり、ただ一人アイデアを持っていてもそう簡単に起業できるわけではありませんでした。
しかし、現在この最低資本金制度や取締役の規定は廃止され、法律上は資本金1円から、取締役1人からでも法人を設立できることになっています。発起人と1円以上の資本金を用意し、定款を作成し公証役場で認証を受け、必要な法定費用を支払って法務局へ書類を届け出れば会社は起こせるのです。
自分自身が創設者(Founder)になることは、意外とハードルは低く、実際、従業員を雇わずに法人を経営する「ひとり社長」というスタイルも増えています。
また、フリーランス・個人事業主であれば「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に届け出るだけで済みますので、よりハードルは低くなります。
多くの人に、起業家になるチャンスはあるわけです。
起業を後押しする多様な選択肢
また、単純な法的要件だけでなく、実際の起業リスクを抑えるための選択肢も時代の変化に伴い増えてきました。
たとえば、基本を在宅勤務としてシェアオフィス・コワーキングスペースを活用すれば、オフィスのために高い家賃を払い続ける必要がなく、ランニングコストをおさえることができます。また、近年増えている個人のM&Aは、後継者がいない中小企業など既存事業の資産を承継することで初期投資の低減が期待できます。
資金調達方法も、銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの融資、投資家からの出資といった従来からの方法に加え、クラウドファンディングなど新しい手段を活用するケースも増えました。
また、コロナ禍で働き方の多様化が一気に進み、企業に属するだけが働き方の選択肢ではなくなってきました。副業がOKの企業が増えたり、社内で起業するパターンも増えたりしていて、独立して起業することへのハードルは下がりつつあります。
起業家になれるのは一握りの人間だけ?
起業家に求められる資質は、社会人にも求められる資質
起業家と聞くと、ハードルが高く、一部のすごく才能がある稼げる人にしかなれない遠い存在、と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
起業家に向いている人材は、
- 好きなことを突き詰められる人
- 他人がするのを待つのではなく、自らやってやるという気持ちを持っている人
- 他人の意見を柔軟に取り入れることができる人
といわれています。
逆に、責任感がない人、新しい知識や意見を突っぱねてばかりの人は向いていないと考えられますが、これは起業家に限ったことではありません。特別な話ではなく、これらは企業に属して働くときにも、とても大切なことですよね。
最近では、日本でも学生起業家や、副業で起業する人など、会社を起こすことが身近になってきました。起業するのに、資格や誰かの許しは要りません。起業したい、自分で事業を始めたいという熱意がある人なら、だれでも起業することができるのです。
ただし、事業を運営していくことには責任が伴い、生半可な気持ちでは務まりません。本記事を通して、起業家に期待される資質や起業家になるまでのステップを確認していきましょう。
「自分が解決したい」がスタートライン
起業家には、社会を変えるという大義が必要かというと、実はそうでもありません。
自分の目の前にある課題を、誰かが解決してくれるのを待つのではなく、自分が解決しよう、自分がやってやろうという意識を持っていることこそが、起業家にまず求められる資質なのです。
口に出して一歩踏み出すことで、「あの人なんかいいね」「頑張ってるね」と、周りが助けてくれる人になっていきます。人脈は大きな財産です。全部ひとりで頑張るのは大変かもしれませんが、前向きに誠実に取り組むことができる人は、起業家としての資質が十分にあります。
新たなステージで、あなたの「自分で解決したい」を実現してみませんか?
起業家にチャレンジする上での不安要素
起業を目指す人に立ちはだかる壁のひとつに、「失敗したらどうしよう」「リスクが高い」「収入が不安定になる」という資金面の不安があります。
確かに、起業してすぐに収益があがるとは限らないので、漠然と「怖い」と感じるのは当然です。特に心配性の人や慎重派の人はあれこれと考えてしまうでしょう。だからこそ「何が不安か」を言語化し、あらかじめ対策しておくことが重要です。
たとえば、資金繰りに関する不安には以下のような対策が考えられます。
- 必要な開業資金・運転資金を書き出して明確にする
- 事業を持続させるために最低限必要な収入を把握する
- 収入源を複数もつ
- 全てを自己資金で賄おうとせず、外部からの資金調達も検討する
不安をただ抱えていても、勝手には解消しません。紙に書き出したり、誰かに相談したりすることで、頭の中を整理しましょう。会社を起こす前に、ためらう気持ちに向き合う時間も大切なプロセスです。
不安要素を乗り越えてもチャレンジする価値
同じ仕事をするなら、サラリーマンでもいいのかもしれません。大企業に属しながら新しい試みを始めることももちろんできます。
そんな中で、たとえリスクがあっても起業を選択する人は、大きな組織の中では成しえない身軽さやスピード感で新しいことを進められるところに魅力を見出しています。
「この問題を自分の力で解決したい!」と強く思う気持ちがあるならば、チャレンジする価値は十分にあります。「もっとこうならいいのに」という自分の思いを実現し、それが社会を変える力となるところが起業家の魅力といえるでしょう。
起業家に期待される5つの資質をベンチャーキャピタリストが語る!
モバイル・インターネットキャピタル株式会社(通称MIC)のポッドキャスト番組「起業家のキモチ」は、ベンチャーキャピタルである同社が支援している起業家をゲストに招き、起業までの経緯やこれからの展望などを語る番組です。
MICのコミュニケーションマネージャーである有賀沙樹さんと同社ベンチャーキャピタリストの元木新さんをホストに、思わず起業!とはいかなくても、聴いた人が一歩動き出したくなるような起業ストーリーや経営に向き合う想いを聞いていきます。
番組内のコーナー、「新」起業のすゝめ では、ホストの元木新さんがベンチャーキャピタリストならではの視点で、アントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成に不可欠な要素について、毎回1つのキーワードを深堀りして語っていきます。
ベンチャーキャピタル(VC)とは
ベンチャーキャピタルは、未上場の新興企業に出資をして株式を取得し、将来その企業が上場したときに株を売却して利益を獲得することを目指す、投資会社や投資ファンドのことを言います。ベンチャーキャピタルは、起業家に投資するとともに、経営コンサルとして経営を伴走するメンター・アドバイザーになります。
モバイル・インターネットキャピタル株式会社
IT領域を中心とするテクノロジーまたはユニークなビジネスモデルを有するスタートアップに投資する、独立系のベンチャーキャピタルです。20年の支援実績があり、リードVCとしてExitまでサポートしています。
ベンチャーキャピタリストとしてご活躍中の元木新さん
モバイル・インターネットキャピタル株式会社チーフインベストメントマネージャー/マネージングパートナー
日本技術貿易(株)にて、電器・情報分野の特許/論文情報を利用した調査コンサルティングに従事。技術の先行例調査、特許権侵害防止調査、最先端技術の動向/情報の収集・分析、知財戦略の構想策定・実行支援のコンサルティングを経て2011年6月MIC参画。ForbesJapanが選ぶ2021年「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」で4位に選出。
成長し続ける起業家に必要な資質・マインドとは
数多くの起業家を見てきたベンチャーキャピタリストの元木新さんが考える、成長し続けて前に進む起業家に必要なマインドとは、アントレプレナーシップに不可欠な要素とは何なのか。
ベンチャーキャピタリストの視点から見た起業家に必要な資質について、番組の過去のトピックから抜粋します。
1. 課題発見力
起業をするうえでまず必要なことは、課題を発見する力、すなわちユーザーが何に困っているのかを把握する力です。業種を問わず、まずは課題を見つけるところから商売(起業)が始まります。
ユーザーペイン・課題を見つけ、それをどう解決していくのかを具体的に落とし込む。それこそが起業家の第一歩であり、成長し続けるための力の源なのです。
2. 真面目さ・誠実さ
ベンチャーキャピタルに支援を受けているような起業家は、魅力的な人柄なのはもちろん、共通しているのは誠実さ、まじめさを持っているということ。
質問に対して構えるのではなく、誠実に嘘をつかずに答えることができ、できていないことをできているように見せるのではなくて、事実をクリアに明瞭に説明できる力があります。
話し上手はかっこいいし、プレゼンが上手いに越したことはないかもしれません。でも起業しようという段階では、そこまで完成されていなくても全然大丈夫です。しゃべりなれてなくても、真実をクリアに、明瞭に説明できる人のほうが惹かれます。
これからまだ乗り越えなければいけない課題があっても、自分が理念や好きなことを真面目に誠実に話すことができる、そういう人は信用できるし、また会いたいと思えるのです。
3. 挑戦と堅実さのバランス
起業家は、みんな少なからずリスクをとっています。でもリスクばかりとっていてもだめで、堅実に経営を守っていく力も必要です。
挑戦なのか、無謀なのか。
成功する起業家は、そのバランスをとるのが上手です。
堅実さというのは、お金の使い方そのもの。挑戦とは、投資を受けた金額の中で、やっていかなくてはいけないもの。
資金がないから挑戦しないというわけではなく、挑戦と堅実さのバランスのとり方を変えながら挑戦を続けていく。そのバランスが上手な起業家は成功している人が多いです。
4. 見通し力
不確定な未来に対して、どれだけのリスクをとれるか。見通し力は、起業家にとっても、投資家にとっても、大切な資質です。
コロナが収束しても、またこの先、世界が不安定になるときが必ずきます。
食糧危機や環境問題など、不安をあおるようなことが起きたら、どうするか、自分には何ができるのか。
いろいろなリスクがある中、どういうサービスがあれば解決できるかという思考実験を常に行っている人は、いざそのようなタイミングになっても強いです。
5. ポジティブな未来志向と実現力
不確定な未来予測をしながら、自分で道をきりひらいていかないといけないのが、起業家の宿命といえます。
わからないから不安だとネガティブに捉えるより、ポジティブなマインドを持って取り組むと、周りが賛同して応援してくれます。ネガティブな人の話をいつまでも聞いてくれる人は決して多くありません。
応援してくれる味方を増やす能力は、ビジネスで生き残る確率を高めます。真面目+ポジティブな姿勢で、周りにどんどん助けてもらえる人になりましょう。
実現力とは、やりきる力のこと。
ベンチャーキャピタルは、投資先にはもちろん成功してほしいと思って投資しています。失敗を前提に投資を決めるキャピタリストはいません。
しかし、たとえ結果は失敗だったとしても、チャレンジしたのかどうかが重要です。ベンチャーキャピタルは、実現したいことのために、周りの意見を聞いてどんどんチャレンジしていく起業家を応援したいと思っています。
失敗にも2種類あり、
- 自分のやりたいようにだけやって、その方法では達成できなかった
- 自分を軸にして周りの意見をどんどん取り入れてとにかくやってみる、それでもだめだった
この2つは、結果は同じでも全く違います。
意見を聞いて反映させて、やりきる力。
結果失敗でもいい。やりきる力がある起業家と一緒に、新しいことをやっていきたいと多くのベンチャーキャピタルは考えています。
起業家になるための7つのステップ
「起業したいな」「起業って自分でもできるかな」と思ったら、行動あるのみです。ただ、いざサービス・商品を考案するとなると、「売上に直結するアイデアなんて思いつくのだろうか?」「自分のビジネスモデルで利益が生まれるのか?」と不安になってしまう方も多いのではないでしょうか。ここからは、起業家を目指す人がまず取り組むべきステップを解説します。
1. 周囲の誰よりも圧倒的にのめり込めるテーマと出会う
「好き」を突き詰める
起業したいなら、まず自分の好きなこと、興味があることを見つけて、「好き」を突き詰めていきましょう。
単に好きからはじまって、そのテーマなら誰にも負けないくらい好き、どんなことでも答えられる、四六時中考えていても飽きないという、他者を圧倒するくらい本気でのめり込めるテーマと出会えたら、最高です。
あなたの「好き」に需要があれば、ビジネスとして成り立ちます。
要するに、あなたの好きなことが、趣味の範囲を超えて価値があるか、社会的に意義があることか、簡単に言えば、あなたの「好き」に、対価を払ってくれる人がいるかどうか。
そんな「好き」がある人は、起業に大きく前進しています。
自分の軸を見つける
これは、自分が大切にすべき軸を明確にする作業でもあります。
事業が軌道に乗るまでは、様々な困難があるかもしれません。曖昧な「夢」やアイデアがぼんやりとあるだけでは、壁にぶつかったときにちょっとした思いつきに振り回されて迷いが生じてしまいます。ビジネスを考える上で「儲かること」はもちろん必須ですが、「好きかどうか」を突き詰め、自分自身と向き合い掘り下げることも同じように重要です。
具体的な戦略を立てる前に、まずはどんなテーマなら自分の情熱を注げるかを明確にしてみましょう。
そして自分の軸を見つければ、ある程度の自由を手に入れることができるでしょう。自分の軸がない人は、自由を求めて起業したのに、かえって不自由になってしまった。という結果になりかねません。
2. 自分の好きなことから、誰かの役に立つ製品・サービスを生み出す
「好き」を起点にサービスを考える
他者を圧倒する熱量の「好き」から、需要やニーズを徹底的にリサーチします。
自分の「好き」が、こういう悩みを持っている人の役に立つ、こんな人の悩みを解決できる、という具体的な解決策を、商品やサービスというカタチに落とし込んでいきましょう。
事業の枠やサービス形態ありきでスタートすると、後々つまづく要因になりかねません。「好き」という自分の軸は持ち続け、考え方やサービスのあり方は世の中が求めるニーズや時代に合わせて柔軟に調整していきましょう。
一人で悩まず人に話す・人に聞く
しかし、多くの起業家は孤独です。人はひとりで抱え込んで悩むと、視野が狭くなってしまう傾向があります。決めるのは自分自身ですが、時には、他の人に自分の考えを話すことで頭の中が整理されることもあります。
そういうときは、プロのコンサルティングを受けたり、企業や自治体が公募するビジネスコンテストに応募してアドバイスをもらったり、または、起業家仲間やロールモデルとなる起業家の先輩に話を聞いてもらったりすると、自分では想定していなかったような気付きを得ることがあるでしょう。
もしハードルが高ければ、まずは信用のおける友だちや知人に今考えていることを話すだけでも頭が整理できるかもしれません。
自分の「好き」と世間のニーズに徹底的に向き合いながら、具体的なサービスに落とし込んでいきましょう。
3. ファーストクライアントと出会う行動を
意見をもらってブラッシュアップする
自分の好きから妄想で生み出した商品やサービスが、実際に困っている人の役に立つのか検証するために、お客さんを見つけて使ってもらいましょう。
ある人には抜群に良いと思えるサービス・商品でも、またある人には不便に感じる、「ここをもっとこうしたほうが使いやすい」といった声を聴くことができます。
いろんな人に使ってもらって、いくつもの意見から学んで活かすことが、商品やサービスの改良・ブラッシュアップにつながっていき、やがてたくさんのユーザーの悩みを解決できる商品・サービスになっていきます。
副業などスモールステップから始めてもOK
いきなり独立するのが不安な人は、まずは副業で小さくトライしてみるのもいいかもしれません。荒削りのものしか提供できないかもしれませんが、実際に経験してみることが大切です。事業に必要なノウハウは、机上で勉強するよりも身をもって覚えるほうが深く理解できます。今多額の利益を生み出している著名な起業家たちも、みな失敗と改善を繰り返しながら、創業初期から段階を踏んで徐々に名を上げてきたのです。
初めから完璧なサービスはありません。まずはファーストステップを踏み出し、スタートラインに立ってみましょう。
4. ミッション・ビジョン・バリューを設定し、目標と計画を立てる
方向性が定まったら、具体的な事業計画を立てていきましょう。まずはじめに、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を考えることをおすすめします。これらは、会社を経営していく上で重要な指針となります。
- ミッション(Mission):この会社が果たすべき使命。やらなければならないこと。
- ビジョン(Vision):将来ありたい姿。目指すべきところ。
- バリュー(Value):価値基準。ミッションを達成しビジョンを実現するために、どのような行動をとるべきかを示す指針。
次に、具体的なゴールと計画を立てます。1年後、2年後、3年後にどうなっていたいかという明確な目標を設定し、その達成のために必要なステップを考えます。
大切なのは、ゴールから逆算して道筋を立てることです。そうすれば、ひとつひとつステップを踏み実践していくことで着実にゴールに近づけますし、もし途中で計画と違う状況に陥ったとしても、「ここからゴールにたどり着くためにはどうすればいいか」という視点でいち早く軌道修正に取り組むことができます。
5. 経営に必要な知識・スキルをつける
会社を起こすのに学歴や資格は不要とはいえ、より成功確率を高めるためには持っておくべき知識やスキルがあります。
財務・会計の知識
実務は税理士や会計士などの専門家に外注するとしても、少なくとも数字を見て経営判断に活かせる程度の「最低限」の知識は学んでおきましょう。経営者が読めるようになっておきたい主な決算書の例は以下の通りです。
- 賃借対照表:決算日時点における財務状況を示す(資産・負債・純資産の状態)
- 損益計算書:一定期間における収支を記録し、会社の経営成績の指標となる
- キャッシュフロー計算書:営業活動・投資活動・財務活動それぞれのキャッシュの流れを示したもの。資金繰りを把握する上で参考となる
自分のビジネスの状況を把握して今後の戦略を立てられるように、基礎的な知識は理解しておきたいところです。
マーケティングの知識
どんなにいい商品でも、顧客に届ける仕組みがなければ売上があがることはありません。集客とあわせて、自社のサービスを改善し続けることも大切です。マーケティングは、市場調査や顧客ニーズの分析を通じて、商品開発を行ったり、販売戦略・営業計画を策定したりする一連の仕組みづくりのことを指します。簡単に言うと、売上げを上げるための仕組みづくりです。
適切な販路開拓・拡大は、事業を成功へ導くカギです。細かいテクニックは後からでも良いので、マーケティングの基本的な考え方を学んでおきましょう。
6. 資金調達の計画を立てる
必要な資金を割り出す
ビジネスのイメージが固まったら、必要な資金を書き出してみましょう。業種によって違いはありますが、一般的な例を下記に示します。
開業資金の例
- 店舗・事務所関係:賃貸なら敷金礼金など
- 設備・備品関係:PC、プリンター、家具、事務用品など
- その他:ホームページ立ち上げ、プロフィール写真撮影、チラシ印刷などの広告宣伝費や販売促進費
運転資金の例
- 固定費:人件費・生活費・家賃・光熱費・通信費など
- 流動費:原材料費・仕入代金・販促費など
立ち上げ資金だけでなく、毎月出ていくお金についても考慮しておきましょう。すぐにビジネスが軌道に乗るとは限りませんので、少なくとも3、4ヶ月から半年の資金繰りは想定しておくと安心です。
自己資金割合の考え方
「自己資金割合は高ければ高いほどいい」と思われがちですが、実はメリットばかりではありません。確かに返済義務が発生しないのは魅力的ですが、全て自己資金で賄う場合は以下のようなデメリットも考えられます。
- 資金を貯めるのに時間がかかり、事業のスタートが遅れる
- 開業資金だけでなく、黒字化するまでの運転資金も確保しなければならない
- 後から融資を受けたくても断られるリスクがある
事業が軌道に乗るまでは、想定していた以上のお金が出ていくことが多々あります。焦って後から融資を申し込んでも、事業設立から時間が経っていれば融資額は業績で判断されるため、断られたり、借りられる額が小さくなってしまったりするリスクがあるのです。メリット・デメリットを天秤にかけて事業計画を練りましょう。
日本政策金融公庫からの融資の活用
外部からの資金調達を考える上で、まず検討したいのが日本政策金融公庫からの融資です。審査が比較的通りやすく、小規模の起業家にとっても使いやすいのが特徴です。
最大7,200万円の融資が受けられる「新規開業資金」や、無担保・無保証人で3,000万円の融資が受けられる「新創業融資制度」など、様々な支援が用意されています。
補助金・助成金の活用
経済産業省や各都道府県などの自治体が、起業促進の名目で複数の補助金・助成金を用意しています。助成金の場合は受給条件を満たして申請すればほとんどの場合受給できますが、補助金の場合は誰でももらえるわけではなく、応募して採択されなければならないうえ、採択後も様々な手続きが必要になります。しかし、100万円、200万円でも、安定して売上の見込みが立つまでは非常に貴重な資金源です。活用できるものがないかチェックしてみましょう。
クラウドファンディングの活用
近年、インターネット上で出資金を募るクラウドファンディングも一般化してきました。事業に共感をおぼえた個人が応援として出資するので、情報発信やファン作りにも役立ちます。
クラウドファンディングは、優れたアイデアで賛同する人が多ければ資金がなくても起業できる点がメリットです。しかし、プロジェクトを公開することになるので、アイデアを盗まれてしまうリスクも併せ持っています。
ベンチャーキャピタルの支援を受ける
モバイル・インターネットキャピタルをはじめとしたベンチャーキャピタルから支援を受けるのもひとつの手です。プレゼンして事業内容に将来性があると見込まれれば、投資を受けることができます。
ベンチャーキャピタルを活用するメリットは資金面だけでなく、共に伴走して成長を応援してくれるパートナーができることです。事業拡大やIPOを目指すのであれば、経験豊富なキャピタリストからアドバイスをもらいましょう。
7. 支援機関・専門家に相談できる体制を整える
登記申請して開業届を提出すること自体は誰でも可能ですが、実際に経営を始めるとなるとわからないことがたくさん出てくるかもしれません。すべて自分で対応しようとすると、とてつもない業務量になってしまいます。自力で対応するのが難しそうであれば、各支援機関や専門家に相談しましょう。
支援機関の例
たとえば、以下のようなところで起業について相談することができます。
- 税務署
- 日本政策金融公庫
- 中小企業基盤整備機構
- 地元の商工会議所
- 地方銀行・信用金庫などの金融機関
- 自治体が設置する相談窓口・セミナーなど
いずれにおいても、どのような事業計画なのか尋ねられた際に焦らなくても済むよう、明確に説明するための準備をしておくとスムーズです。
専門家の例
起業後も、それぞれの分野の専門家に相談できる体制を整えておくと良いでしょう。
- 税理士:節税・記帳・給与計算・経理全般
- 社会保険労務士:雇用・労働・社会保険
- 司法書士・行政書士:登記などの会社設立手続き・許認可関係
- 弁護士:契約書類・リーガルチェック・業務上のコンプライアンス
- 公認会計士:(主に上場を目指す場合)監査・会計
独学で賄える分野もありますが、時間は有限です。時間配分・費用・万が一の際のリスクマネジメントなども考慮し、より安心できる選択をしましょう。
まずは最前線にいる起業家の生の声を聴いてみよう
「起業に興味がわいてきた」「このアイデアいけるんじゃない?」
そう思っていざ起業しようとしても、「やり方がわからない」「自分の周りには具体的な話を聞ける起業家がいない」「アドバイスがほしい」という人も、多いのではないでしょうか。
先輩起業家との直接の交流がない人も、今はSNSやオンラインコミュニティを通じて、起業家の生の声がたくさん聞ける時代になりました。起業したい人向けのエクスポもオンラインやオフラインで開催されています。
これから起業しようと準備している人も、起業してみようかなと思っている人も、まずは第一歩として、最前線にいる起業家たちや、起業家をたくさん見てきたベンチャーキャピタリストの話を聞いてみましょう。サラリーマンとは違った、起業家だからこそ持っている情熱や理念から学ぶ事がきっとあります。
今注目の起業家たちや、キャピタリストの生の声が聞ける番組「起業家のキモチ」は、毎回1社にスポットを当てて、起業に至った経緯やこれまでの道のり・苦労、これからの展望について、経営者自らが語るポッドキャストです。
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