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セガのIP戦略に変革:ゲームの枠を超えて音声メディアへ拡張する狙いとは

2026.02.14

smnl-sega-ip-transmedia-podcast かつて家庭用ゲーム機の製造で一世を風靡したセガが、現在、コンテンツホルダーとして大きな変貌を遂げています。2026年1月27日、セガ・オブ・アメリカは人気シリーズ「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のキャラクターを起用した物語形式のポッドキャスト『The Chaotix Casefiles』の配信を開始しました(出典:Gaming Company Sega Brings Franchise Into Podcasting With Narrative Series.)。

なぜ、世界的なゲーム企業が今、あえて音声という伝統的なメディアに注力するのでしょうか。そこには、ディズニー流の知財管理手法を取り入れ、顧客との接点を途絶えさせない高度なブランド戦略が隠されています。

1. セガが推進するトランスメディア戦略の全貌

セガの現在の躍進を支えているのは、複数のメディアを横断して世界観を伝えるトランスメディア戦略です。

1-1. 専門家がもたらしたIP管理の変革

この戦略のキーマンは、グローバル・トランスメディア責任者のジャスティン・スカルポーネ氏です。同氏はウォルト・ディズニー・カンパニーで17年間にわたりマルチメディア展開を統括してきた経歴を持ちます。スカルポーネ氏の参画により、セガのIP(知的財産)展開は、単なるライセンス供与から、各メディアが互いに相乗効果を生む継続的な循環エコシステムへと進化しました。

1-1-1. 常に接触機会を維持する「Always-on」戦略

この戦略の核心は、大型ゲームの発売がない期間でも、ファンがブランドに触れ続けられる環境を構築することにあります。映画、アニメ、そして今回のポッドキャストを重要な顧客接点として機能させることで、ブランドに対する関心を常に高い状態で維持しています。

2. なぜポッドキャストがIP拡張の最適解なのか

数あるメディアの中でポッドキャストが選ばれた背景には、音声メディア特有のビジネス的な利点があります。

2-1. 低コストで深い物語体験を可能にする媒体特性

ポッドキャストは映像制作に比べてコストを抑えつつ、リスナーの想像力を刺激する深い物語性(ナラティブ)を提供できます。特に今回の作品では、音声のみで重厚な世界観を構築する演出を採用し、質の高い体験を実現しています。

2-2. 新作への期待感を維持するマーケティング装置

音声ドラマを通じてキャラクターへの愛着を深めることは、新作ゲームや映画への購買意欲を維持する効果があります。視覚を占有しない「ながら聴き」の時間を活用することで、ファンの日常生活におけるブランド占有率を高めています。日本国内でも音声コンテンツの利用者は増加傾向にあり、この手法は今後のマーケティングにおいて無視できない選択肢となるでしょう。

3. テーマパークモデルによるビジネス構造の構築

セガのブランド責任者イヴォ・ガスコビッチ氏は、現在の戦略をテーマパークの運営になぞらえています。

3-1. コンテンツと商品の相乗効果

映画やゲーム、ポッドキャストは、ファンを世界観に引き込むためのアトラクションの役割を果たします。そして、その体験を日常生活に持ち帰るための手段として、アパレルやフィギュアなどの関連商品が提供されます。この循環が、強固な経済圏を形成します。

3-2. 主要タイトルへの横展開

このモデルはソニックだけにとどまりません。セガは「ペルソナ」や「龍が如く」といった主要IPにも同様の戦略を適用しています。実写ドラマ化や多角的な展開により、特定の層に限定されないグローバルなファンベースを獲得しています。

4. 戦略を実現するための実行体制とパートナーシップ

ブランドの品質を維持するためには、専門性の高いパートナーとの連携が不可欠です。

4-1. 制作会社との提携による品質担保

今回のプロジェクトでは、数々の有名作品を音声化してきた実績を持つRealm社と提携しました。業界最高峰のサウンドデザインと、ゲーム公式キャストの起用を組み合わせることで、既存ファンの期待に応えるクオリティを確保しています。

4-2. グローバル展開と各地域のファンへのアプローチ

デジタルプラットフォームを通じた配信は、国境を越えた展開を容易にします。音声コンテンツは映像よりもローカライズ(現地適合化)のハードルが低く、世界中のファンに一貫したブランド体験を届けるための強力な武器となります。

5. まとめ

セガのポッドキャスト進出は、単なる新コンテンツの追加ではありません。それは、ゲームという枠組みを超え、人々の生活のあらゆる場面にブランドを浸透させようとする、緻密なトランスメディア戦略の一環です。

デジタルデバイスによる視覚情報の飽和が進む中、あえて耳というチャネルを通じてファンの想像力に訴えかける手法は、今後のIPビジネスに重要な示唆を与えています。自社の資産をいかに継続的な接触ポイントに変えていくか。セガの挑戦は、あらゆる企業におけるブランド構築のヒントになるはずです。


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曽志崎 寛人
PROPO.FM Producer
曽志崎寛人
歴史ポッドキャスト「ラジレキ〜ラジオ歴史小話」 ナビゲーター