podcasting 「聴く」を楽しむ深堀りコラム

Spotifyが2026年に提唱するAIエージェンシーの正体。ユーザーが主導する新しい音声体験の形

2026.02.04

smnl-spotify-ai-agency-2026 毎日何気なく聴いている音楽やポッドキャスト。しかし、その選曲をAIに任せきりにしていると感じることはないでしょうか。Spotifyは2026年1月、創業20周年という節目に、新共同CEOのアレックス・ノーストロムとグスタフ・セーデストレムによる新たなリーダーシップ体制と、刷新されたミッションを定義しました(出典: https://newsroom.spotify.com/2026-01-12/new-year-new-jobs-renewed-commitment/ )。現在、Spotifyの利用者は世界で約7億5,000万人に達していますが、同社は単なる自動化を超えた、新しいオーディオ体験の形を提示しようとしています。

1. 2026年、Spotifyが変えるユーザーと音楽の距離感

Spotifyが新たな章の幕開けとして掲げたのは、4つの重要な柱です。

第一に、リスナーがSpotifyで過ごす時間を後悔のない(No Regrets)価値あるものにすること。第二に、最新の技術を通じてユーザーにさらなる制御権(More Control)を提供すること。第三に、クリエイターの革新を支える触媒(Creative Catalyst)となること。そして第四に、これらを一つのグローバルチームで実現することです。これらは、音楽、ポッドキャスト、オーディオブックが融合した巨大なエコシステムを、より人間中心のものへと進化させるための指針となっています。

1-1. AIは自動化から主体性(エージェンシー)の時代へ

これまでのAIは、過去の履歴から好みを推測して自動で曲を流す受動的なものが主流でした。しかし、Spotifyが2026年に提唱するのは主体性(エージェンシー)という概念です。

これは、AIを自分に代わって勝手に何かをさせる道具ではなく、自分の意思をより高度に反映させるためのパートナーとして位置づける考え方です。ユーザーがアルゴリズムのハンドルを握り、自らの感性でオーディオ体験を操る。テクノロジーと人間の主体性が共鳴する新しいステージへと、Spotifyは歩みを進めています。

2. 自分の言葉で音楽を操る。注目の新機能活用ガイド

新しいプロダクト哲学は、具体的な機能としてユーザーの手元に届き始めています。これまで以上に直感的で、かつ専門的な操作を可能にするツールを紹介します。

2-1. 指示文からプレイリストを生成するPrompted Playlist

Prompted Playlistは、自然な言葉である指示文(プロンプト)を入力するだけで、AIが複雑な意図を汲み取ったプレイリストを瞬時に作成する機能です。

2-1-1. 具体的な指示で理想の選曲を実現する方法

例えば、「雨の午後に読書をしたい。最初は集中できるインストゥルメンタルで、1時間後には少し明るいジャズに切り替えて」といった、時間経過や気分の変化を含めた指示も理解します。抽象的なイメージを具体的な選曲に変換できるため、言葉にできない今の気分を音にする体験が広がります。

2-1-2. 過去の視聴履歴と最新トレンドを融合させる技術

この機能の特徴は、単にキーワードに合う曲を集めるだけではない点にあります。サービス利用初日からの膨大なリスニングデータと、世界中の最新トレンドをリアルタイムで解析。ユーザーのこれまでの好みをベースにしつつ、新しい発見につながる楽曲をバランスよく提案します。

2-2. 対話でムードを変えるAI DJの進化

2023年に登場したAI DJも、2026年版では双方向の対話が可能になりました。流れている曲に対して「もう少しテンポを上げて」や「このアーティストの最新情報を教えて」といったリクエストを音声やテキストで送ることができ、自分専用の放送局と会話しているような体験が得られます。

2-3. プロ級の調整を可能にするMixingツールの魅力

Mixing機能では、プロのDJが使うような技術を手軽に扱えます。AIが楽曲の波形やテンポ、音調を解析し、曲と曲の間を滑らかに繋ぎます。曲の切り替わり(トランジション)のタイミングや重なり具合を自ら微調整することもでき、自分だけの選曲リストを完成させる楽しみを提供します。

3. 価値ある時間をデザインするSpotifyの設計思想

Spotifyが目指すのは、単にアプリ内での滞在時間を増やすことではありません。

3-1. 満足度を重視するNo Regretsという考え方

SNSなどで問題となっている無意識の長時間消費に対し、Spotifyは、アプリを閉じた後に、より良い気分になっていることを成功の指標としています。自分の意志で音楽を選び、深く没入する意図的なリスニングを促すことで、ユーザーにとって満足度の高い時間の提供を最優先しています。

3-2. 音声コンテンツが繋がる新しい日常

現在、Spotifyは184カ国で展開され、あらゆるデバイスで利用可能なオーディオの基盤へと進化しています。移動中の車内や自宅のスマートTV、あるいはビデオコンテンツを楽しみながらでも、音楽、物語、知識がシームレスに繋がり、日常を彩るインフラとしての存在感を強めています。

4. まとめ

2026年、Spotifyは新体制のもと、AIを主導する新しいオーディオ体験を本格化させています。主体性と後悔のない体験という哲学に基づいた新機能は、音楽との向き合い方を受動的なものから能動的なものへと変えていくでしょう。テクノロジーに身を任せるのではなく、テクノロジーを使いこなして自らの感性を広げる。このような新しいSpotifyの活用が、今後のリスナーにとってのスタンダードになると期待されます。

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曽志崎 寛人
PROPO.FM Producer
曽志崎寛人
歴史ポッドキャスト「ラジレキ〜ラジオ歴史小話」 ナビゲーター